抄録
本研究では、交流及び共同学習における学習活動の違いが、通常学級の児童のかかわり方や学びに及ぼす影響を明らかにし、双方向のかかわりを重視するために必要な学習活動や教師の手立てについて検討することを目的とした。小学校5年生の3つの学級で行われた交流及び共同学習の実践を取り上げ、授業内のかかわりと授業後の学びを総合的に踏まえて、各実践の成果と課題を分析した。1組では、両校の児童が小グループに分かれて活動した。成果として、個別に密接なやりとりが生じた点が挙げられた。一方課題として、相手との急な距離感の近づきに苦戦した点が挙げられた。2組では、両校の児童にそれぞれ役割があった上で活動した。成果として、役割があったことで、やりとりのしやすさにつながった点が挙げられた。一方課題として、役割が固定されていたことで、かかわり方が限定された点が挙げられた。3組では、両校の児童全員で一緒の活動をした。成果として、両校の一体感が芽生えやすくなった点が挙げられた。一方課題として、個別にかかわる場面は限られた点が挙げられた。このように、各学級の学習活動が異なったことで、別々の成果と課題が挙げられた。双方向のかかわりを重視するために、実態やねらいに合わせた学習活動の使い分けや、他者とのかかわりを促す教師からの言葉掛けの必要性が示された。