抄録
日本と韓国ともに特別支援教育が普及・発展したことに伴い、障害の重度・重複化への対応は共通の課題の一つになっている。本研究では、特別支援学校の重度・重複障害児に対する指導領域である日本の「自立活動」と韓国の「日常生活活動」の指導内容を比較分析することで、日韓における重度・重複障害児指導の特徴と相違点を明らかにすることを目的とする。テキストマイニングの結果、「自立活動」において「音」、「玩具」、「働きかけ」、「手」、「目」、「聴覚」、「視覚」、「基本」、「歩行」、「用具」、「動作」が主な特徴的なキーワードとして示された一方、「日常生活活動」においては「自立」、「生活」、「実物」、「シンボル(象徴)」、「疎通」、「意思」、「文化」、「地域」、「社会」、「余暇」であることが示された。本研究により、「自立活動」は、教材・教具による感覚刺激を通して指導を行うことを特徴としている一方、「日常生活活動」は、地域社会で主体的に生活していくために実物やシンボル(象徴)に重点を置いて指導を行うことを特徴としていることが示された。