2017 年 3 巻 p. 87-102
知的障害のある児童生徒が生活を通して学ぶことの重要性から、領域・教科を合わせた指導として「生活単元学習」がある。本研究では、知的障害特別支援学校12年間の発達段階、生活年齢等に応じたキャリア発達を促進する生活単元学習を授業づくりの視点から検討した。小学部・中学部の「生活単元学習計画案」から、授業づくり及び授業改善の過程におけるキーワード分析を行い、高等部においては中心的な授業である作業学習と生活単元学習との関連を検討した。「働く生活」を実現させるために、小学部での自分の良さ=価値に気づき、他者意識を育てること、中学部においては身近な地域の中で自分の価値を発揮できる力を育て、さらに他者の価値にも気づけるようにしていくこと、高等部においては自分が行っていることの価値を確認し、働く生活と関連付けるという、12年間にわたる指導・支援の系統性が示唆された。