2017 年 3 巻 p. 77-86
本研究では、重症心身障害児者のきょうだいの幼少期から現在までの体験や思いの変容と、それにおける周囲の人からの影響を明らかにすることを目的とし、重症心身障害児者を同胞にもつ青年期の男女4名を対象とし、聞き取り調査を行った。得られた語りから概念を抽出し、収束させながらカテゴライズを行った結果、きょうだいと同胞に関する過去の体験と思い、現在のきょうだいの思い、きょうだいの思いと親と祖父母との関係、きょうだいの思いと学校・同年代の友人・他人との関係に関するカテゴリーが得られた。 きょうだいに対する周囲の人からの働きかけとして、親との良好な関係や家族団らん、話し相手の存在や周囲の人の気遣い、同胞を特別扱いしない周囲の人の関わり方が、きょうだいの同胞の障害受容に有効であったと考えられる。