抄録
肢体不自由児本人の願いを活かしたキャリア教育を進めていくために、肢体不自由特別支援学校におけるキャリア教育に対する教員の意識と課題を明らかにし、本人の願いを組み込んだ授業づくりのあり方を検討することを目的とした。肢体不自由特別支援学校教員を対象にキャリア教育に関するアンケートを実施し、キャリア教育の考え方、担当する児童生徒について、学部間比較と教育課程間比較を行った。学部が上がるほど、「将来の生活」について考えていること、夢や願いにおいて、「将来への思い」が高まっていることが読み取れた。自立活動を主とする教育課程においては、キャリア教育の視点を活かした授業づくりに対し、様々なイメージを持っている一方で、「将来につながる授業」のイメージが、他の教育課程に比べて低いことが示された。重度重複障害の子どもたちのキャリア教育においても児童生徒のライフキャリアを踏まえたキャリア教育を検討していく必要がある。また、本人の夢や願いを表出する力を高める指導を追究し、教育活動に取り入れていく必要があると考える。