抄録
看護教育において, 2008年度より統合分野が新設され, 災害直後から支援できる看護の基礎的知識について理解するという方針が示された. 災害看護は, 災害サイクルすべてにおける活動が対象であり, 他職種と協働し, 臨機応変に行動することが求められる. しかし, 実践的な災害看護教育に関する研究は少なく, より効果的な災害看護の教育方法を検討するため, 全国の看護系大学における災害看護の担当教員と災害看護の活動経験がある看護職者を対象とし, 重視する教育項目の違いを明確にするため研究を実施した. その結果, 大学教員群が災害看護を学ぶ上で必要と考えている項目は, 主に基礎的内容を重視した項目であった. 一方, 活動経験者群は, より実践に即した項目を重視していた. 活動経験者群が優先的に必要と考える教育項目を災害看護教育に導入することで, 今後の災害看護教育の向上が図られると考える.