抄録
沖縄県内の通常学校(中学校)の教育現場で通常の学級に在籍する生徒を対象に,SNEAT10の信頼性と判別的妥当性を検証した。SNEAT10はQOLの概念を取り入れ,「体の健康」3項目,「心の健康」4項目,「社会生活機能」の3領域10項目からなる尺度である。小学校で信頼性(小原・太田・安藤,2016)と判別的妥当性(Kohara, Ando, Yano, et al., 2017)が検証されているが,中学校での信頼性および妥当性はこれまで検証されていなかった。
本研究において中学校でのデータ収集を行い,信頼性を検証した結果,Cronbach's α値が体の健康・心の健康・社会生活機能の3つの領域でいずれも基準値の0.7を上回ったため,信頼性が高い尺度であることが確認された。また,判別的妥当性分析の結果,IN-Child非該当生徒とIN-Child該当生徒の点数が3つの領域のすべてにおいて,p<0.001となり有意な差が認められた。これらの結果により,SNEAT10は小学校だけではなく中学校を含めたの教育現場でのスクリーニングツールとして十分に活用可能であることが示された。