抄録
ここ数年、わが国でも診療ガイドライン(Clinical Practice Guideline―以下「CPGL」と称す)開発が盛んになってきた。1990年以降国際的にも普及を始めたEBMの考え方が、わが国でも市民権を得始めたこと、EBMの考え方の延長上にCPGLがあること、そして平成11年度以来厚生労働省がCPGL開発を積極的に補助し始めたこと等が切っ掛けである。CPGL開発には組織的かつ大規模な文献の検索・収集と査読(レビュー)が必要であり、医学研究者が片手間に出来ることでもない。各分野の専門医学研究者等が、試行を繰り返しつつ、20数種の疾患別CPGLが形を整え、一部のCPGLは改訂作業も始まっている。筆者等はこれらの半分のCPGL開発に何らかの形で係わり、1/3強のCPGLについて文献検索から報告書編集までの多くの作業を担当してきた。この経験を基に、CPGL開発の手順や成果などについて分析し、評価を行った。