医療
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39 巻, 10 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 安原 高士, 尾上 公昭, 河野 宏, 岩本 龍夫, 杉山 明, 村田 太郎, 荒木 文雄, 川口 憲二, 榎本 正満, 三宅 周
    1985 年 39 巻 10 号 p. 842-846
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近, 上部消化管出血に対して内視鏡下局所止血法が盛んに行われている. 今回私たちは純エタノール局注法を行い, 良好な成績を得ることができたので報告する.
    対象は, 吐下血を主訴として当院に入院した胃潰瘍(UV)23例, 十二指腸潰瘍(UD)1例, UV+UD1例, Dleulafoy潰瘍2例, 血管肉腫1例の計28例である. これらの患者に対して無水エタノールを露出血管(EV)又は出血点の1~2mm周辺に1回当り0.1~0.2ml, 3~18回穿刺注入し, 1~7日後に内視鏡で追跡した.
    出血中5例とEVを伴う病変23例への止血効果は, 永久止血24例(86%), 一時的止血4例(14%), 無効0例であつた. ボスミン法併用8例では, 純エタノール局注法は全例に有効であつたが, ボスミン法は3例にのみ有効であつた.
    従来, 上部消化管出血に対しては緊急手術がなされてきたが, 本法は患者への侵襲も少なくまず試みるべき方法と考えられた.
  • 二村 敦朗, 古田 富久, 杉本 公行, 堀部 廉, 広瀬 敏勝, 松井 順五, 桑原 英明, 加藤 元久, 中島 正夫, 斉藤 正彦, 山 ...
    1985 年 39 巻 10 号 p. 847-854
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去5年間(昭和54~58)に15例(手術例数18例)の極小未熱児の手術を経験した. 消化管症例6例(手術例数7例), PDA11例であつた.全国的に見ても, 極小未熟児の外科は, まだ緒についたばかりで試行錯誤の状態であるが, 従来の新生児外科の常識が通用しない様々な問題点を含んでいる. 今回消化管手術を中心に個々の症例を披瀝しつつ, 反省点を中心に今後の問題解決の方法を記載した.
    極小未熟児は, 体温調節機構, 呼吸循環系, 消化吸収機能, 脳, 腎, 感染防御機能などの未熟性は想像を絶するものであり, 極小未熟児の生理機能を充分理解した上で, 早期により低侵襲手術を行うとこが救命率を向上させる.
  • 食道静脈瘤の診断と治療に関する共同研究班
    1985 年 39 巻 10 号 p. 855-862
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤106例を内視鏡的硬化療法群56例(A群)と手術療法群50例(B群)に分け臨床的に比較検討した. 肝硬変を伴うものがA群78%, B群84%であつた. 成因としてB型, 非A非B型肝炎ウイルス, アルコールがそれぞれ約%を占めた. 臨床症状では黄疽, 鼓腸は少なく, 腹水, SKD, 脾濁音界拡大, 肝腫大が両群とも比較的多かつた. 生化学的検査ではγ-GTP, triglycerideがA群で, γ-GTP, LAP, ZTT, cholesterol, 血清総蛋白がB群でそれぞれ有意の改善がみられた. 食道の内視鏡的所見は両群間に差はなかつたが, A群で上部・中部に及ぶ静脈瘤が多い傾向にあつた. 食道硬化術は1回45例, 2回10例, 3回1例であつた. 手術は予防的7例, 待期的22例, 緊急20例であつた. 予後はA群, B群間に有意の差はなく, B群を予防的, 待期的, 緊急手術とわけても特に生存期間に差はみられなかつた.
  • 安冨 徹, 牧野 耕治, 岡本 美穂二, 吉岡 秀憲, 土屋 宣之
    1985 年 39 巻 10 号 p. 863-865
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は約12年間の病悩期間を有する強度に拡張した食道アカラシア症例に対して, 有茎胃弁移植下部食道接合部成形術(千葉大学・佐藤外科方式)を施行し, 術後食道蠕動運動の回復と著名な自覚症の改善をみた. 佐藤らも上記術式施行77例について, 全例が術後「良好」または「軽快」であつたと報告している. 我々の過去数例の本症の手術経験(他の術式による)に照らしてみて, この症例が高令にもかかわらず最も成績が良好だつたので報告した.
  • ―純エタノール局注止血法の試み―
    安原 高士, 河野 宏, 佐々木 俊輔, 荒木 文雄, 萩原 秀紀, 日名 一誠, 岩野 英二, 三宅 周
    1985 年 39 巻 10 号 p. 866-869
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    他臓器原発の腫瘍が胃に転移する転移性胃腫瘍は, 比較的まれである. 著者らは, 陰部の軟部組織に原発し, 胃と十二指腸に転移し, 出血を主症状とした血管肉腫(以下「HAS」)を経験し, 純エタノール局注療法を試みたので, その経緯について報告する.
    症例は70才の女性. 6年前に陰部に腫瘤を発見し, 摘出術と化学療法を施行. その後4回同様治療を行い, 5ヵ月前より60Co照射を開始. 今回, 扁桃腫瘍(生検にてHASを確認)よりの出血のために入院. 入院時, 鉄欠乏性貧血をみた. 内視鏡険査では, 胃および十二指腸にHASの転移病巣を数ヵ所に認め, 4回にわたり純エタノール局注療法を施行し, 局注後タール便の消失をみた.
    転移性胃血管肉腫は非常にまれで, 肉腫では転移性胃脂肪肉腫の1例をみるに留まる. また純エタノール局注療法は, 胃血管腫の1例, 転移性胃悪性リンパ腫の2例, 胃癌の15例などに使用されており, 有効な方法と考えられた.
  • 渡辺 博史, 安原 高士, 河野 宏, 佐々木 俊輔, 荒木 文雄, 萩原 秀紀, 日名 一誠, 岩野 英二, 三宅 周
    1985 年 39 巻 10 号 p. 870-872
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    著者らは, 十二指腸球部に原発した有茎性ブルンネル腺腫の1例を経験し, 内複鏡的に切除しえたので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
    患者は61才の男性で, 自覚症はなく, 胃透視上偶然異常をみつけられた. 入院時の諸検査では, 異常を認めなかつた. ERCPおよび内視鏡検査にて, 十二指腸球部に有茎性のポリープを認め, これを内視鏡的に切除(ポリペクトミー)した. 切除したポリープは15×13×12mm, 茎5mmの大きさであり, 病理組織学的にはブルンネル腺腫であつた.
    十二指腸に発生する良性腫瘍は, 十二指腸原発の癌よりもまれである. このうち, ブルンネル腺腫は最多を占め, 文献的には1979年までに347例報告されている. しかし, 十二指腸病変でポリペクトミー可能症例は, 1983年1月までに38例が報告されているにすぎない. 今後の内視鏡検査の普及および技術の向上に伴い, 増加していくことが期待される.
  • 松岡 順治, 岡本 司
    1985 年 39 巻 10 号 p. 873-875
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    十二指腸(45才, 女性)と直腸(82才, 男性)に発生した平滑筋肉腫の2例を報告した. いずれも比較的小さく, 分化型平滑筋肉腫の組織像を示した. 平滑筋腫と異なる分化型平滑筋肉腫の診断基準に関し, 1. 細胞の異型性又は多形性, 2. 核分裂像の数, 3. 細胞密度, 4. 周囲組織への浸潤, 5. 壊死が挙げられ, さらに肉眼的大きさと転移の有無を参考とし, 総合的に判断すべきことが強調された.
  • 西田 一巳, 萩原 正通, 篠田 正幸, 秦野 直
    1985 年 39 巻 10 号 p. 876-878
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    78才, 男性で, 右腹部腫瘤を主訴として入院. 右季肋部より膀下5cmにわたる腫瘤を触知した. 注腸造影では, 回盲部は上方に圧排され, 虫垂は充盈されなかつた. CTにて, 後腹膜腔に嚢腫状腫瘤を認めた. 血管造影上腫瘍血管を認めなかつた. 以上より後腹膜腫瘍と診断し, 手術を施行した. 後腹膜腔の腫瘤は, 褐色ゼリー状内容を有し, 回盲部と連続していた. これらの手術所見及び病理組織所見より, 粘液嚢腫性虫垂癌と診断された. 虫垂癌はまれな疾患であり, 本邦では本症例を含めて94例が報告されている. これまで粘液嚢腫性虫垂癌の進展形式は, 腹膜仮性粘液腫のみとされており, 後腹膜腔に穿破し, 腫瘤を形成したものの報告はない.
  • ―下血を主とする1例と内瘻を伴う腫瘤形成型の1例―
    隠岐 公二, 鳥山 皓, 大藪 久則
    1985 年 39 巻 10 号 p. 879-882
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は, 最近若年者のクローン病を2例経験した. 症例1は下血と貧血を主訴として来院. 注腸透視と大腸フアイバーの所見より, クローン病の診断のもとに, 回腸末端を含めた結腸右半切除が施行された. なお剔出標本にてcobblestone appearanceが認められ, 組織学的に非乾酪性肉芽腫が証明された. 症例2は, 下腹部腫瘤と腹部の激痛を主訴として来院. 限局性腹膜炎の診断のもとに緊急開腹術を施行したところ, 回盲部は肥厚し, 回腸は互いに瘻孔を形成して一塊となつていた. ここではじめて, 内瘻を伴う腫瘤形成型のクローン病が疑われ, 回腸末端を含む結腸右半切除術が施行された. 剔出標本にてcobblestone appearanceが認められ, 組織学的に非乾酪性肉芽腫が証明された.
  • 岡本 司, 上田 裕造
    1985 年 39 巻 10 号 p. 883-885
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    日本住血吸虫卵の介在と消化器癌発生との因果関係については古来種々の議論がなされてきた. 近年, 症例数の増加により, 粘膜隆起性病変(いわゆるポリープ)をへる発癌過程がクローズアツプされている.
    私どもは77才男性で上行結腸癌の手術により得られた検索材料で, 他に盲腸のポリープ(腺腫内腺癌)を認め, これら2個の癌と他部の回腸~横行結腸にかけての腸組織に多数の日本住血吸虫卵の介在を認めた興味ある症例をここに報告する. 虫卵介在と発癌との関連性について若干の考察を加えた.
  • 磯本 徹, 広瀬 脩二, 大田 早苗, 船木 治雄
    1985 年 39 巻 10 号 p. 886-890
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    われわれは重症の3臓器障害例3例を救命しえたので報告する.
    1例目は69才の腹部大動脈瘤の男性患者で, declamping shockにより術後急性腎不全, 肝障害, 脳障害を併発したものである. 血液透析41回, 肝透析2回などにより救命できた.
    2例目は60才の男子で疾病は肝硬変+食道静脈瘤, 左開胸下に食道離断, 経横隔膜的に脾摘を行つたところ, 術後7日目にSherlock第III度の意識障害に陥り, 食道の縫合不全を併発した. さらに腹水貯留, 横隔膜切開創の〓開などで著しい呼吸不全に陥つたが, 52日間に及ぶ人工呼吸の末, 救命できた.
    3例目は53才の男子で, 肺結核で右上葉切除と右胸郭形成術の既往のあろ患者. 胸部下部食道癌に対して, 右開胸下に胸部食道を切除し, 胃管を胸骨後につり挙げて食道を再建した. 術後重症シヨツクとなり, 呼吸不全, 肝腎障害を併発したが, 呼吸管理, 栄養管理などを細心に行うことにより救命できた.
  • 山中 剛, 奥村 恭久, 松村 敏則, 南曲 尚, 福本 勝也, 吉仲 一郎
    1985 年 39 巻 10 号 p. 891-894
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立都城病院外科における, 昭和48年から10年間の機械的イレウス症例は257例であつた. 単純性イレウスが225例(87.5%), 複雑性イレウスが32例(12.5%)であつた. 単純性イレウス225例中癒着性イレウスが205例(91.2%)と大部分を占めた.
    既往手術の内訳は, 胃切除, イレウス, 虫垂切除の順であつた. 手術既往のない症例では腫瘍性のイレウスが約半数を占めていた. 手術的に解除を要したのは単純性イレウス225例中64例(28.4%), 複雑性イレウスは32例全例であつた.
    手術内容は単純性イレウスでは癒着剥離が30例(46.9%)と多いが, 腸切除を要したのが14例(21.9%)もあつた. 複雑性イレウスでは18例(56.2%)に腸切除を要した. 初診より手術までの期, 間は単純性イレウスでは即日より5日目までにほぼ均等に分布し, 複雑性イレウスでは即日から1日目までにほぼ半数が手術された. 死亡例は7例(2.7%)で, 死因は敗血症が多かつた.
  • 那珂 端和, 仲本 光一, 林 嘉繁, 米沢 健, 小林 衛, 石山 暁, 武藤 正樹
    1985 年 39 巻 10 号 p. 895-899
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院過去5年間の肝内結石症症例は8例で, 男3例, 女5例, 36才~74才であつた.
    病型は肝内外型6例, 肝内型2例, 左右両葉別では左型5例, 左右型3例. 胆管非狭窄例5例,狭窄例3例, 狭窄部位は外側区域中枢部2例, 右肝管1例, 総肝管1例であった.
    胆管非狭窄5例の術式は胆摘・総胆管切開外瘻術3例, 上記に加えて十二指腸乳頭形成術附加1例, 肝区域切除附加1例. 5例中2例に退院時肝内遺残結石をみとめたが, 全例無症状で社会複帰している. 狭窄例3例の術式は総胆管切開外瘻術1例, 上記に加えて肝区域切隙附加1例, 総肝管外瘻術1例, 3例中2例に退院時肝内遺残結石をみとめた. このうち1例は無症状であるが,他の1例は胆管炎を再発, 再入院し, 約6カ月後経皮経肝胆道フアイバースコープによる截石が可能であつた.
  • 石川 博子, 野口 純一, 遠藤 睦美, 川添 太郎, 島田 宗明
    1985 年 39 巻 10 号 p. 900-904
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたヒスタミンH2-レセプター拮抗薬ラニチジン(SN 301)を術前手術患者に50mg筋注投与し, 麻酔導入直後の胃液量, 胃液pHを測定してラニチジン非投与群と比較検討した. 又, ラニチジン投与群の年令及び投与時間による差も比較検討した. 結果は, ラニチジン投与群は, 非投与群と比較し胃液量は有意に減少し, 胃液pHは有意に上昇した. ラニチジン投与群の年令による差では, 40才未満では, 40才以上と比較し胃液量は多く, 胃液pHは低い傾向を示した. 投与時間による比較では, 麻酔導入60分前の筋注投与群では, 筋注投与60分以上経過したグループと比較し, 有意に低い胃液pHを認めた. 以上よりラニチジンの麻酔前の投与は, 胃内容の誤嚥による肺合併症を防ぐ目的で有効な薬剤といえるが, 若年者及び麻酔前筋注投与60分以内の患者では, ラニチジン投与患者でも, 胃内容誤嚥による危険性に注意しなければならないと思われる.
  • II. 骨髄 2.幼若好中球および単球
    青木 誠, 村山 直弘
    1985 年 39 巻 10 号 p. 905-908
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 39 巻 10 号 p. 909
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 39 巻 10 号 p. 909a-910
    発行日: 1985/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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