われわれは重症の3臓器障害例3例を救命しえたので報告する.
1例目は69才の腹部大動脈瘤の男性患者で, declamping shockにより術後急性腎不全, 肝障害, 脳障害を併発したものである. 血液透析41回, 肝透析2回などにより救命できた.
2例目は60才の男子で疾病は肝硬変+食道静脈瘤, 左開胸下に食道離断, 経横隔膜的に脾摘を行つたところ, 術後7日目にSherlock第III度の意識障害に陥り, 食道の縫合不全を併発した. さらに腹水貯留, 横隔膜切開創の〓開などで著しい呼吸不全に陥つたが, 52日間に及ぶ人工呼吸の末, 救命できた.
3例目は53才の男子で, 肺結核で右上葉切除と右胸郭形成術の既往のあろ患者. 胸部下部食道癌に対して, 右開胸下に胸部食道を切除し, 胃管を胸骨後につり挙げて食道を再建した. 術後重症シヨツクとなり, 呼吸不全, 肝腎障害を併発したが, 呼吸管理, 栄養管理などを細心に行うことにより救命できた.
抄録全体を表示