医療
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開心術後反復性高熱に対して腹膜潅流冷却法が有効であつた1治験例
西沢 直鈴木 一郎白松 一安小林 純
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1986 年 40 巻 9 号 p. 864-867

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抄録
40才女性の僧帽弁閉鎖不全症に対して, Björk-Shiley弁置換術を行つた. 手術経過中異常な筋緊張なく, 体温上昇もなく, 順調に終了した. 術後4時間目に直腸温39℃に達したので, 氷のう冷却, 各種下熱剤を投与したが, 体温は上昇し術後23時間目には41.1℃に達した. 体温冷却を目的として腹膜灌流(液温32℃)を行い, 一度は37.7℃に下降した. 術後40時間目(腹膜灌流終了16時間後)には再度39℃に達し, 前回同様に下熱剤投与にもかかわらず, 再度体温は40℃に達したので, 2回目の腹膜灌流を行い37.8℃に下降した. その後5時間目(術後60時間)に38.8℃に上昇したが, 氷のう冷却により下熱し, 以後は安定した経過で回復した. この再三にわたる術後異常高熱は, 下熱剤に全く反応しないことなどから, 悪性高熱の亜型が疑われた.
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