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小児科領域の腎代替療法
星井 桜子
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2003 年 57 巻 11 号 p. 659-664

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抄録
小児の末期腎不全治療の最終目標は正常な成長発達である. 小児の透析法の主流は腹膜透析(PD)で, 小児PD研究会データでは15歳以下の新規PD導入数は毎年50-60例である. その1/3は6歳未満が占め, 乳幼児のPD選択率は高い. 生存率や継続率などのPDの成績は向上しているが, 6歳未満では年長児に比べ劣り, その管理に注意を要する. 主な死亡原因として心血管系合併症が多く, 体内水分の適正な管理による正常血圧の維持が重要である. また, 小児では精神心理面, 社会面の問題が起きやすく, 腎不全保存期から患者と家族へのサポートは必須である.
QOL(生活の質)の点から, 小児の最善の治療は腎移植であり, 透析は腎移植を前提としなければならない. しかし, 献腎移植低迷から, わが国では小児でも腎移植の選択時期が遅く, ほとんどが生体腎移植である. そのため, わが国では諸外国に類をみない長期透析となる. 一番の解決策は献腎移植の増加であり, 腎移植推進は小児腎不全にかかわるものの責務でもある.
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© 一般社団法人国立医療学会
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