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対立遺伝子特異的増幅法を用いた軟骨無形成症(achondroplasia)の遺伝子診断と家族検索
長尾 雅悦
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2006 年 60 巻 5 号 p. 329-334

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抄録
軟骨無形成症achondroplasia (ACH)はfibroblast growth factor receptor 3 (FGFR-3)を病因遺伝子とする近位四肢短縮型の先天性骨系統疾患である. 本症は常染色体優性遺伝するが, FGFR3遺伝子の膜貫通ドメインに位置するG1138A変異(G380R)が約97%を占める. したがって確定診断にはX線所見と合わせた遺伝子診断がきわめて有用である. 本症の遺伝子診断に対立遺伝子特異的増幅法Amplification refractory mutation system (ARMS)を用い, 従来のPCR-RFLPやシークエンス法に比べ, 迅速かつ簡便に結果を得られた. また生後早期に致死性骨異形成症thanatophoric dysplasiaや軟骨低形成症hypochondroplasiaなど多彩な骨系統疾患を鑑別することができた. さらに家系内でのFGFR3遺伝子のSNPsを用いた多型性解析を行い, G1138A変異が父親の対立遺伝子のde novo変異であることが明らかになった.
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