2023 年 64 巻 2 号 p. 67-69
Nannizzia fulvaによる足爪白癬の1例を報告した.17歳女性.約1年前から右第1趾爪に白色混濁肥厚がみられた.直接鏡検で真性菌糸が認められ,マイコセル培地25℃の培養で比較的すみやかに発育する乳白色絨毛状のコロニーが得られた.スライドカルチャー所見で,特徴的な大分生子が豊富にみられた.スライドカルチャー所見および分子生物学的解析結果から,N. fulvaと同定した.イトラコナゾール内服,5%ルリコナゾール外用により5ヵ月後略治した.文献検索の結果,これまでにN. fulvaによる爪白癬の報告はなく,国内第1例目の症例と思われた.