日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 2434-5237
Print ISSN : 2434-5229
64 巻, 2 号
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総説
  • 仁木 誠, 掛屋 弘
    2023 年 64 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/31
    ジャーナル フリー
     深在性真菌症はひとたび免疫不全宿主に発症すれば急速に進行する予後不良の感染症であり,早期の診断と適切な抗真菌薬の選択が不可欠となる.真菌同定において生化学的検査や形態学的検査は今なお主要な検査法であるが,より迅速かつ正確に原因真菌を同定するためには,質量分析装置や遺伝子検査の活用が求められる.加えて,血液などの無菌検体より真菌を検出した場合や本来感受性のある抗真菌薬を投与しているにもかかわらず,治療に難渋する場合などでは薬剤感受性試験も重要となる.検査にあたる臨床検査技師は病原真菌や真菌検査に関する知識や技術を習得し,常に抗真菌薬適正使用支援に貢献できる検査データを提供していくことが求められる.また,当院では2016年より近隣の医療機関からの検査依頼を受け入れ,病原真菌の同定や薬剤感受性試験の実施による真菌症診療支援を行っている.同定依頼を受けた菌種にはAspergillus属の類縁種や担子菌門に属する糸状菌も含まれており,分生子の形成が乏しく白色調の集落を呈する場合や菌糸のみの場合に多くの施設が同定に苦慮していることが示唆された.
短報
  • 猿田 隆夫, 矢口 貴志, 佐野 文子, 猿田 祐輔
    2023 年 64 巻 2 号 p. 67-69
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/31
    ジャーナル フリー
     Nannizzia fulvaによる足爪白癬の1例を報告した.17歳女性.約1年前から右第1趾爪に白色混濁肥厚がみられた.直接鏡検で真性菌糸が認められ,マイコセル培地25℃の培養で比較的すみやかに発育する乳白色絨毛状のコロニーが得られた.スライドカルチャー所見で,特徴的な大分生子が豊富にみられた.スライドカルチャー所見および分子生物学的解析結果から,N. fulvaと同定した.イトラコナゾール内服,5%ルリコナゾール外用により5ヵ月後略治した.文献検索の結果,これまでにN. fulvaによる爪白癬の報告はなく,国内第1例目の症例と思われた.
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