日本画像学会誌
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論文
定常状態における転写ベルトの電気的特性
水野 恒雄半那 純一
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2002 年 41 巻 2 号 p. 124-129

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抄録
中間転写ベルトは,電子写真方式のカラープリンタにおいては重要な役割を果たしている.しかし,その電気的特性に関しては従来十分な評価がされておらず,多くは転写ベルトを等価的に抵抗と容量の並列回路として取り扱われている.また,抵抗成分はオーミックな伝導特性を持つものと仮定されていた.
 本報告では,転写ベルトの誘電率,キャリア濃度,キャリア移動度,さらにキャリア移動度の電圧依存性に関して詳細な検討を行い,電気伝導特性を明らかにして次の結果を得た.
 誘電率は,実際に使用する高電界下での測定を行うため,抵抗を転写ベルトに直列接続した回路を使用し,その回路の周波数特性より求めた.誘電率は周波数に依存し,周波数が高くなるに従い緩やかな減少傾向を示した.しかし,誘電率の電圧依存性は見られなかった.
 キャリア濃度とキャリア移動度は,誘電率と電流―電圧特性から算出し,この結果から,転写ベルトは電荷移動状態に3つの状態があることを示した.電圧が低い時にはオーミックな伝導特性を示す領域,ある電圧を超えると空間電荷が形成され空間電荷制限電流の領域となり,さらに高電圧では,キャリア移動度が電圧依存性を持つ領域である.
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© 2002 一般社団法人 日本画像学会
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