製造品外観の良否判定を,画像を用いた外観検査により自動化したいというニーズがある.近年の撮像技術や画像認識技術の発展に伴い,画像による自動外観検査の利用が広がりつつある.本稿では,リコーの有する画像による自動外観検査技術の内,外観検査の性能を競う国内のコンテストで優秀賞を受賞した2つの手法を紹介する.1つ目の手法は,機械学習の一手法である,「半教師あり異常検知」 を用いた手法で,良品のサンプル画像のみから良否判定を可能とするものである.一般に,機械学習を利用するためには大量の学習用データが必要となるが,製造部品の不良品は良品に比べて数が少ないため,十分な量を用意することが困難である.そこで,良品のサンプル画像のみで学習可能なアルゴリズムを開発した.2つ目の手法は,外れ度を表すZ-scoreを改良した,良品の形状などがばらついていても精度良く欠陥検出を可能にする手法である.この手法は,1次加工段階の部品や食品など,良品の形状ばらつきが大きい対象でも高い精度で外観検査が可能である.