2017 年 56 巻 1 号 p. 10-15
近年,3Dプリンティング技術が発達し,様々な方式の3Dプリンティングが様々な分野で活用されている.熱溶解式3Dプリンティング (Fused Deposition Modeling (FDM) ) は,装置を安価に作製可能であることと,広く用いられているABS樹脂を印刷可能なため,一般家庭に広まることを期待されていた.しかし,現在期待されているほどFDM式3Dプリンタは世間に浸透していない.その理由としては,熱で溶解した材料を一層ごとに積層し,造形を行うという原理上,発生する積層痕であると考えられる.積層痕は造形物の外観を悪化させ,ユーザーのイメージ通りの造形を不可能にする.そこで著者らは,この積層痕を除去する方法として,3次元化学溶解仕上げを開発した.この3次元化学溶解仕上げによって積層痕を平滑化させることは可能になった.しかし,この3次元化学溶解仕上げを評価する方法はいまだに確立されていない.そこで今回,画像から取得した明度を用いて3次元化学溶解仕上げを評価する方法を開発した.