日本画像学会誌
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論文
大気中電子放出素子による新規帯電システム
岩松 正平川 弘幸山本 治男
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2017 年 56 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

大気中で安定動作可能な新規構造の電子放出素子を開発した.この素子は,絶縁性材料に導電性ナノ粒子を分散した不均質な半導電層を特長とする.従来の放電を原理とするスコロトロンやローラ帯電では,オゾン発生と感光体膜削れの2つの課題の両立が困難であったが,電界電子放出素子はこれらを原理的に解決でき,複合機の帯電器として応用可能となる.大気中での電子放出特性として,電子放出素子の駆動電圧は20V程度,電子放出電流密度は数十μA/cm2まで可能である.素子寿命は,A4サイズの素子で4.8μA/cm2の電流密度で300時間以上の動作を確認できた.本稿では,このような電子放出素子の真空中や大気中での基本特性,電子の挙動などについて詳細に評価·分析した結果について論じるとともに,帯電器として応用した場合の素子特性,オゾンや感光体膜削れの特性についても報告する.

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© 2017 一般社団法人 日本画像学会
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