2018 年 57 巻 2 号 p. 189-196
「多元質感知」は,情報工学·心理物理学·脳神経科学の密接な連携によって,実世界の多様な質感を認識する人間の情報処理の計算原理や神経機構を解明するとともに,革新的な質感の再生·編集技術を生み出し,産業応用も視野に入れた学際的な質感研究領域を確立することを目指した,現在進行中の科研費新学術領域研究プロジェクトである.この解説では,「多元質感知」プロジェクトにおいて問題にしている質感はどういうものかということを明確にしたのち,領域の体制と現在の状況を概観する.領域のこれまでの成果の具体例として,視覚的質感認識の解析や視覚系の特性を利用したメディア技術など,著者のグループの最近の質感関連研究についてまとめる.最後に,今後の研究方向について述べる.