日本画像学会誌
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解説
高画質と高生産性を両立した低温定着ホワイトトナーの開発
村上 毅佐藤 修二飯塚 章洋
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2020 年 59 巻 1 号 p. 62-67

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抄録

近年,デジタルコミュニケーションが加速する中,印刷市場においてオフセット印刷からデジタル印刷機への移行が加速され,Print On Demand機が定着している.

富士ゼロックスでは高い隠蔽率と低温定着性能,多重転写性能を両立した低温定着ホワイトトナーを開発し,プロダクションカラープリンティング市場向け商品「IridesseTM Production Press (イリデッセプロダクションプレス)」に採用した.

従来の混練粉砕トナー製法でホワイトトナーを作製すると,トナー表面へ白色顔料が露出してしまい,電荷漏えいによる帯電不良や転写不良が発生し,画質欠陥が発生した.特に下敷層としての機能を果たす為には高い転写性能が要求されることから,混練粉砕ホワイトトナーの6色プリントシステムへの適用は困難であった.

そこで,富士ゼロックスではEAトナー製法を応用し,高屈折率の白色顔料とトナー構成粒子の凝集バランスを精密に制御することで,白色顔料をトナー内部に均一に分散させた.また,トナー中の白色顔料含有量を高める為,トナー表面のシェル構造を精密に制御し,緻密な薄膜構造のシェル層を形成することで白色顔料の表面露出を抑制しつつトナー中の白色顔料含有量を高めた.さらに,Super EA-Ecoトナーに導入したシャープメルトポリエステル樹脂と微分散技術を応用展開し,ホワイトトナー用に詳細設計することでSuper EA-Ecoトナー同等の低温定着性を実現した.

本稿では新開発のホワイトトナーについて詳細に解説する.

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© 2020 一般社団法人 日本画像学会
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