日本画像学会誌
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論文
蒸発・増粘を考慮したインクジェット着弾シミュレーション
門永 雅史
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2020 年 59 巻 1 号 p. 83-95

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抄録

水分蒸発による増粘を考慮した自由表面解析モデルを考案し,インクジェット液滴の着弾現象をシミュレーションで解析したので報告する.3次元数値流体力学ツールであるOpenFOAMの自由表面ソルバーを改良し,蒸発・増粘,動的接触角,動的表面張力のモデルを追加して着弾シミュレータを開発した.接触角,表面張力,接触角の時間変化を考慮して,通常の自由表面形状計算を行う.次に,インク中の水分濃度,大気中の水蒸気濃度を移流拡散方程式で計算し,さらに蒸発による体積変化を補正する.水分濃度とVOF (Volume of Fluid) 値 (流体存在割合) から,各メッシュにおける粘度を計算し,ナビエストークス方程式から速度・圧力を計算する.蒸発が終了するまで一連の計算を繰り返すことで着弾現象が解析可能となった.液滴体積,メディア,温度を変えた条件で計算を行い,実験結果を再現可能であることを確認した.しかしながら本計算モデルには多くの仮定やあわせこみが必要あり,インクジェット着弾解析を行うにあたっての今後の課題が明らかになった.

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© 2020 一般社団法人 日本画像学会
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