2018 年 33 巻 4 号 p. 557-570
私は,2008年に日本人間ドック学会に入会した後,2010年より編集委員,2012年より編集副委員長,2014年より編集委員長を拝命し,学会誌の編集,投稿論文の審査等に携わらせていただいている.学会員の皆様に論文投稿をお願いしているが,一方では,学会員より,初心者向けに「論文の書き方」,「統計法の選び方」等の注意点を明示して欲しい等の要望が繰り返し寄せられている.そこで,今回は,統計法の選び方,表現法等につき,私なりにまとめてみた.私は,肝臓疾患を主体として約30年活動しており,統計関係については,各種の参考書1-9)を読みながら学会誌への投稿を繰り返してきた.統計法の記述についても,とんでもない誤り,勘違いを幾つも査読者より指摘されてきた.これらの多くの貴重な,裨益するご意見を基に原稿を修正してきた.今回は,これらの過去の失敗の実例を紹介し,統計を専門とされない方々に多少でも参考になればとの思いで本稿を記した.内容は,統計リテラシー,研究デザイン,データの表現法,要約統計量,推計,仮説検定,検定法の選択,リスク比とオッズ比,多変量解析,生存分析等における注意点である.