動的接触角と接触線速度の関係を考慮したインク滴の濡れ広がりのシミュレーションを行った.インクジェットプリンティングにおける画像品質は,メディア上でのインク滴の挙動の影響を受けるため,その挙動を予測することが求められている.近年では,滴の挙動について多くの研究がなされている.その中で,動的接触角と接触線速度の関係を用いた滴挙動のシミュレーションが広く検討されている.しかしながら,多くの検討は,インクジェットプリンティングで用いられる系とは異なり,mmサイズの大きな液滴で,その滴組成も水などの単純なもので,メディアも印刷用途のものではない.そこで本研究では,インクジェットプリンティングで実際に用いられるインク,メディア,滴サイズを対象にしてインク滴挙動のシミュレーションを行い,実測との比較を行った.そして,動的接触角と接触線速度の関係を考慮したインク滴の挙動シミュレーションは,実測を精度よく再現する結果が得られた.