2024 年 63 巻 1 号 p. 72-80
ITMA (Textile & Garment Technology Exhibition) は繊維関連機械国際見本市で,染色技術研究者の成果発表の場であり,最先端技術の展示場である.そして,想定される顧客はその技術を搭載した繊維関連機械を導入する工場である.そのITMA2023のプリント・インク展示場を,繊維・アパレル業界の「テキスタイルを作る顧客,使う顧客,消費する顧客」という立場から視察した.
流通が短くなったにもかかわらずデジタルトランスフォーメーションの進まない日本の繊維・アパレル業界において,インクジェットプリントはまだ効率的に,そして有効に利用されているとは言い難い.繊維・アパレル業界とインクジェットプリンターメーカーに働く人々のお互いの理解を深めることなくして,デジタルテキスタイルを世の中に広めることは難しいと考える.
インクジェットプリンターメーカーはデジタルテキスタイルをファッション,および繊維・アパレル業界の未来にどのように位置づけようとしているのか.繊維・アパレル業界はインクジェットプリンターをどのように利用することができるのか,展示から受け止めたことを共有し,さらに日本の繊維・アパレル業界の立場から,インクジェットプリンターメーカーに期待する役割を提言する.