電子写真における帯電工程や転写工程などバイアスローラを用いたプロセスでは,火花放電が積極的に利用される.たとえば,帯電ロールは,感光体との間に電位差が付与され,ロール接触部のごく近傍で発生する放電によって感光体表面を帯電させる.しかし,電子写真における画像形成ではしばしば,放電が不均一になり画像に濃淡が現れたり,沿面放電を伴う樹状あるいは円形の放電パターンが画像に現れるなどのトラブルが発生する.そのように,放電には利用すべき形態と防ぐべき形態があると考えられるが,それらの間にどういう区別があり,それぞれの放電形態がどのような特徴を持つかを説明するのが本稿の主たる目的である.この目的のため,まず,放電に関する一般的基礎知識について解説する.そして,電子写真における放電現象の具体例について触れた後,放電形態について解説する.