日本画像学会誌
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Imaging Today
吐出シミュレーションによるインク粘弾性影響解析
佐武 健一森 亮久
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2025 年 64 巻 2 号 p. 183-192

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抄録

高分子を添加したインクは,静的粘度が同じでも,高分子添加量が多いほど所定吐出速度を得るための駆動電圧が高くなったり,分滴した液滴間の距離が長くなったりする.これは粘弾性の影響と考えられるが,そのメカニズムは明らかになっていない.本論文では,粘弾性の液滴形成に与える影響をOldroyd-Bモデルを用いた吐出シミュレーションで解析した.その結果,弾性率と緩和時間の積である溶質粘度が大きくなると所定吐出速度を得るための駆動電圧が高くなること,溶質粘度が大きいほど,分滴した液滴間の距離は長くなり,極大値を取った後,液滴間距離は短くなって,ある程度溶質粘度が大きいと1滴にまとまることが分かった.これらには,インク柱内伸長流れによる伸長粘度の増加によって,インク柱後端とメニスカスとの間のくびれ,インク柱先端と先頭滴との間のくびれの成長が遅くなることが起因していると考えられる.

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