本稿では,プラスチック製品における「加飾しない加飾」技術について解説する.従来,プラスチックの加飾は塗装や印刷,めっきなどにより外観や質感を高めることを目的としてきたが,近年では素材そのものの色彩や表面形状を活かした表現が注目されている.「加飾しない加飾」とは,外部から装飾層を付加せずに,着色やテクスチャーによって質感や高級感を演出する技術であり,環境負荷低減やモノマテリアル化の観点からも意義がある.本稿では,加飾技術の変遷を概観しつつ,「加飾しない加飾」の具体的な技法やその背景にある成形技術について紹介する.