銀行券等紙幣は発行開始当初から偽造の脅威にさらされてきた.19世紀以降,産業技術の急速な進歩・普及に伴い,銀行券の偽造環境が大きく変貌するとともに,新たな偽造防止技術が創出されてきた.銀行券の偽造に大きな影響を与えた産業技術として,19世紀後半の写真製版技術,20世紀末のカラー複写機及びそれに続くデジタル技術を活用したスキャナ,PC(personal computer),プリンター,DTP(desk top publishing)等が挙げられる.新たな産業技術を活用した偽造防止技術として,銀行券専用のホログラムあるいはデジタル技術を活用した複写防止画線等が挙げられる.加えて,20世紀初頭以降の経済規模拡大による銀行券需要の大幅増への対応としての印刷機及び抄紙機の機械化,さらには近年におけるデジタル技術の進歩に伴う銀行券の流通環境の変化に焦点を当てるものとする.銀行券の歴史を振り返り,セキュリティの確保において,何が重要であるか,振り返るものとする.