抄録
群馬県草津白根山東麓の主要源泉ならびに主要河川における溶存ヒ素濃度を求め,各源泉の湧出量と河川の流量からヒ素の供給量と運搬量を見積もった.この結果,源泉から供給される総ヒ素量は年間約50トンであり,その供給量のほとんどは,最も溶存ヒ素濃度が高くかつ湧出量が最大である単一の源泉からの供給量で占められていた.一方,この地域における河川水による総ヒ素運搬量は年間30トン強であり,そのほとんどは草津町温泉街周辺の源泉水を集水して流れる河川で占められている.河川により運搬されるヒ素のほとんどは,酸性河川中和事業の結果生じる中和沈殿物中に捕集され,恒常的に年間30トンを越えるヒ素が域内のダムに供給・蓄積され続けることが示された.