2026 年 65 巻 4 号 p. 363-371
イシガキフグ(Chilomycterus reticulatus)というフグ目ハリセンボン科の魚類は,天敵に襲われた際に魚体を膨らませることで身を守ることが知られている.魚体の体表には約150本の相互に重なる棘が配置されているが,これらは魚体の膨張収縮時に干渉せずに滑らかに動く.この未解明な構造の展開可能性と圧縮に対する高い剛性に着目し,その「仕組み」と「機能性」を解明することで,生物模倣工学的応用のための基盤の創出を目指す.魚体の形態の解析においては,魚体全体の棘と表皮の配置を記録し,断面を観察した結果,棘の重なり順序に規則性があること,また表皮内に特殊なトンネル構造が存在することを発見した.また,この構造の機能性の解析においては,3Dプリント製の再現モデルで圧縮実験を行い,この構造が持つ機械的特性を調査した.