1997 年 15 巻 1 号 p. 88-96
気功師(気の送り手)と一般人(気の受け手)とを感覚伝達を金属箱等で遮断して配置し、気功による変則的知覚を試み、その時の脳波を測定した。送気は継続した1分間の内の無作為に選ばれた前半または後半において行い、気の受け手はその送気時間帯を推測する。20回の試行の結果、気の受け手は送気時間帯を統計的に有意に知覚することができなかったが、送気時間帯と非送気時間帯における体性感覚・運動野に対応する部位での脳波のα波平均振幅の間には、課題開始後13〜17秒の区間に統計的に顕著に有意な差がみられ、下意識における変則的知覚の存在が示唆された。また、この結果は、著者たちが視覚に関する変則的知覚実験を行った時の結果と、変則的知覚課題に関連する受け手の感覚野対応部位において、課題開始後約10秒以上を経てα波振幅が増大する、という点で一致しており興味深い。