2012 年 30 巻 1 号 p. 115-
フラダンス(正式にはフラhula )はハワイの伝統舞踊であるが、日本においても非常に愛好者多い人気のカルチャーである。 当院では、特別な用具を必要とせず屋内で行えるフラを、中高齢者の運動プログラムの一つとして取り入れ、その身体面、心理面の両面に対する効果を検証したので報告する。 対象は平均年齢55歳の女性33名で、院内のスタジオで週2~4時間のレッスンを2年間継続した。参加前と比較して2年後、体力測定においては有意に下肢の筋力増強効果を認めた。また、メディカルチェックの結果から、生活習慣病予防効果も期待できることが示唆された。心理面においては、1時間のレッスンの前後に行った気分プロフィール検査(POMS)において、緊張、抑うつ、怒り、疲労、混乱の各スケールがレッスン後に有意に下がり、活気の尺度が有意に上がった。このPOMSの結果にみられたフラの心理効果の少なくとも一部は、セロトニン神経活性化効果によるものと考えている。