筆者らはスキンケア美容液の顔面塗布によって起こるリラックス効果を脳波変化で捉えることを試みた。実験は2015年7月から8月に実施し、平均粒子径10nmの白金コロイドを200ppm含有する美容液(実験試料)と白金コロイドを含まない美容液(対照試料)を用いた。実験協力者は白金コロイドを含有する化粧品を常用する群(使用群、女8名、平均年齢43.1歳)とそれの使用経験のない群(未使用群、女8名、平均年齢40.6歳)とし、美容液0.45gを顔面に塗布する前後の脳波のアルファ波平均パワーを単純盲検条件で測定した。試料のもたらす効果の評価には、初期安静のアルファ波平均パワーを基準として実験協力者ごとの相対変化をdB表示で解析する手法を採用した。また、美容液を塗布する前にストレス課題を実施した。結果、使用群、未使用群とも、対照試料塗布後のアルファ波平均パワーは初期安静の水準に回復した。実験試料の場合、未使用群の塗布後のパワーは初期安静の水準に回復したが、使用群はさらに0.56dBまで増大した。白金コロイド含有美容液は、化粧行動と美容液基剤によるリラックス効果に加え、白金コロイドによるリラックス効果も持つことが示された。ただし、白金コロイドの作用機序の詳細は不明であり、今後の研究が必要と考えられた。