国際生命情報科学会誌
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研究発表
発達障害児にみる自律神経系機能と脳波による検討
河野 貴美子近喰 ふじ子
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2017 年 35 巻 1 号 p. 23-

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抄録

前回のシンポジウムにおいて、生命活動の調節機構として発達してきた自律神経の働きを、発達障害児のデータ等を一部紹介しながら考察した。今回はその発達障害児データを定型発達群との比較の上で、脳波の結果とも併せて詳しく検討したので報告する。被験者は定型発達群(N)8名(平均年齢±SD:13.4±2.8歳)、アスペルガー障害群(ASD)11名(13.2±2.9歳)、注意欠陥障害群(ADD)6名(12.2±2.1歳)で、家政大学倫理委員会の審査を経ており、開示する利益相反もない。実験では国際10-20法に従う12chの脳波電極、呼吸、SpO2電極を装着し、安静、音楽静聴、簡単な暗算などをコントロールデータとして計測後、ウェクスラー式知能検査の中から数唱、類似点探し等の課題、さらに風景構成法を描かせる課題、本の読み聞かせや作文の課題などを課して、その実施中を計測した。その結果、脳波では発達障害群の方が全般的に、α波が大きかった。頭頂α波平均振幅値の左右比(C4/C3)をみたところ、発達障害群の、特に数唱・逆唱課題においてこの比が大きく、イメージ的思考を併用するより言語的にのみ捉える傾向が強いことが考えられた。数唱・逆唱の正答数はN群の方が多く、正答数とC4/C3には逆相関の関係が認められた。脈波のピーク間ゆらぎ解析から、副交感神経の指標とされるHF、および交感神経の指標とされるLF/HFを計算した。心拍数としてはN群が一番低く、ADD群が一番高い、つまりADD群では常に緊張度が高いと思われる結果であったが、自律神経系の指標からは、N群では安静時より種々課題遂行時に交感神経系が高くなるのに対し、ADD群では多少気分的な変動が見られ、ASD群では全体に変化に乏しいという印象であった。しかし今回の被験者の障害は軽度であり、有意な差がみられるほどの違いは認められなかった。さらに分析を深める必要があると思われる。

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