国際生命情報科学会誌
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研究発表
舌喉頭矯正術による成人の睡眠改善評価
山本 伊佐夫 篠田 健一中川 貴美子大平 寛鎌倉 尚史山田 良広長谷川 巖向井 將
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2020 年 38 巻 1 号 p. 55-

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抄録

舌喉頭偏位症(ADEL)は、舌小帯の有無にかかわらず舌および喉頭蓋・喉頭の前上方への偏位している状態で、この状態は上気道の抵抗が増加させるだけではなく、呼吸も抑制している。舌小帯およびオトガイ舌筋を一部切離する舌喉頭矯正術(CGL)は、舌および喉頭蓋・喉頭が後下方に移動し喉頭が直立するため呼吸障害が改善される。 睡眠障害を主訴としCGLをして来院した成人20名を対象に、汎用されている睡眠評価尺度質問紙であるエップワース眠気尺度(ESS)と睡眠の質を評価するピッツバーグ睡眠質問表(PSQI)および高感度の加速度センサーが内蔵された腕時計型アクチグラフを用いて、術前と術後約1ヶ月に測定し、CGLによる睡眠改善効果について検討した。日中の眠気および睡眠の質の改善が確認された。アクチグラフの結果、覚醒中の睡眠時間、睡眠効率、入眠後の覚醒時間、最長の継続睡眠時間に有意な改善がみられた。CGL後は、睡眠中の呼吸が改善することにより、中途覚醒も減少したため睡眠効率が上昇し、昼間の眠気も減少したものと考えられた。睡眠障害の新たな治療法としてCGLの有効性が示唆された。

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