ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
「誰も取り残さない」社会への手がかり
コロナ禍における移民・難民のボランティア活動から
宗田 勝也
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 p. 33-38

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抄録

 本稿は、東京都新宿区で活動するミャンマー少数民族による自助団体のボランタリーな活動について、新型コロナウィルス感染症の拡大前/後の変容を報告するものである。日本で暮らすミャンマーの人たちが支え合うとともに、日本社会に貢献できる人材を輩出したいという思いから始まった活動は、2012年度の自助団体設立以来、一貫して「教育」を柱としてきた。ミャンマー難民、コミュニティの成人に向けた日本語教育事業と、ミャンマー難民、コミュニティの子どもたちに向けた母語教育事業である。それが新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、コミュニティ内において生活の危機に直面する人々が続出したことを受け、公益財団法人の資金援助を得て、緊急生活支援事業に取り組むこととなった。それは仕事を失い、家を失った人たちの命を守る取り組みとなった。感染症拡大を背景に物資の調達も困難な中、自助団体の人たちが優先した「最も困難な立場に置かれた人へ支援を届ける」という思いは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の精神を具現化したものとも言える。活動の中に見出した、「誰一人取り残さない」社会実現の困難と可能性を報告する。

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2021 国際ボランティア学会
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