ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
新型コロナウイルス感染症の状況下におけるSDGs達成に向けた遠隔ボランティア活動
「オンラインまちの赤ちゃん保健室」の事例から
城間 美貴
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 p. 39-44

詳細
抄録

 新型コロナウイルス感染症拡大にともなう2020年4月の緊急事態宣言を受けて外出自粛が余儀なくされている中、母子の孤立が問題視されている。厚労省の調査によると1~3月の児童相談所で虐待として対応した件数は、いずれも前年同月比で1~2割増加している。新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛状況で孤立し、不安を抱えている母親やその家族に対する持続的なサポートを検討し、LINEをはじめとするSNSを使用したオンライン上での遠隔サポート「オンラインまちの赤ちゃん保健室」を4月8日から9月30日まで実施した。本事業により、参加ボランティアの本業にも繋がる取り組みであることから活動へのモチベーションの維持にもなり、今後、第二波が発生した場合にも継続可能な新しい支援の形を見出すことができた。相談対応では、LINEを使用することで、対面では相談しにくいという相談者のハードルを下げることにも繋がった。日常的に利用されているLINEを用いる方法は相談者だけでなく、ボランティア側も操作しやすく、継続的な支援が可能になった。また、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指すSDGsの達成にも繋がり、社会に取り残されていて声を上げることができていない相談者の、個別性に応じた支援を検討することができていると考える。直接対面式でないことから緊張感が少ない状態となり、相談者のストレスも軽減することが可能であり、夜間に相談できる場所を提供できたことは、不安が強くなる時間帯において、少しでも安心できる要素になったと思われる。本事業を継続することで、行政だけでは限界があると考えられる母親やその家族への支援も、地域に根付き各分野で活動している団体と連携し、地域の人々に寄り添い、必要な社会資源へ繋ぐ環境をつくることが可能になると考えられる。

著者関連情報
2021 国際ボランティア学会
前の記事 次の記事
feedback
Top