ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
飲料水源の維持管理・利用方法
バングラデシュ南西沿岸部における村民と開発援助の認識や実践の違い
山田 翔太
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 p. 47-60

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抄録

 本研究は、村民による飲料水源の維持管理・利用方法の実践と、給水施設の設置機関が求める給水施設の維持管理・利用方法がどのように異なるのかを、バングラデシュ南西沿岸部での現地調査から解明することを目的とした。これは、対象地域の固有要因が見落とされることにより、給水施設の機能不全や放棄が生じていると考えられるためである。現地調査の結果、調査地での飲料水に関する固有要因として飲料水源である池の単一世帯による維持管理と多目的利用が導出された。しかし、給水施設の設置機関は水源である池を飲料水の獲得(単一目的)のみに利用し、複数世帯(管理委員会)による維持管理を望んでいた。このような相違が生じる背景としては、村民と給水施設の設置機関の間で、水資源の所有権と希少性に関する認識という点で齟齬が生じていることが指摘された。つまり、給水施設を設置する際には対象地域の固有要因が十分に考慮されておらず、ボランティアにおいて重要である「他者の視点に立つ」解決策が提示できていない可能性が示唆された。

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2021 国際ボランティア学会
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