ボランティア学研究
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Print ISSN : 1345-9511
日本の国際協力NGOに勤める有給専従職員の給与分析
楯 晃次
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 p. 75-85

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抄録

本稿は、「持続可能な社会の実現を目的に活動を行うNGO職員が持続可能ではない」という問題意識のもと、週5日以上勤務する有給専従職員に焦点をあて、最新の給与データである「NGOセンサス2019」を活用し、給与の高低要因を分析したものである。NGOの給与を含む待遇の実態調査は、国際協力NGOセンター(JANIC)により継続して行われ、2019年の有給専従職員の給与水準は、359.2万円であることが把握されている。一方、給与に関する研究の蓄積がなかった。NPOを対象とする給与研究は、1990年代後半より日本でも進められ、在籍年数や年齢といった個人属性や収入規模などの団体属性が給与の高低に関係することが明らかになっている。本稿では先行研究を踏まえつつ、寄付金や事業収入、助成金といった収入内訳や法人格別など、独自の視点を採り入れ分析を行った。  分析の結果、NGOの有給専従職員の給与高低も先行研究で示された個人属性、団体属性と関係することが明らかになった。特に収入規模が1億円を超えるまでは収入規模の向上とともに給与が上昇するが、それ以降は給与ではなく、職員数が増加する。その後5億円を超えると再度給与が増加するといった本稿独自の結果を示した

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2021 国際ボランティア学会
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