2025 年 79 巻 4 号 p. 439-445
NHKでは聴覚障害者への情報保障サービスの拡充に向けて,機械翻訳とCG生成技術を用いた任意文手話CG生成システムの開発を進めている.聴覚障害者を対象として,ニュース速報文から生成した手話CGの内容理解に関する評価実験を実施し,機械翻訳とCG生成のそれぞれについて内容理解を妨げる要因を分析した.機械翻訳によって生成した手話CGは,人手翻訳によって生成した手話CGより内容理解の正答率が低く,翻訳精度の向上が必要であることが示された.CG生成においては,指文字や口型の提示による情報の補完や提示速度が固有名詞の理解に影響するほか,文脈と合致しない顔表情が内容理解を妨げる問題があることが示された.