2025 年 79 巻 5 号 p. 548-553
民間テレビ局の考査業務の理解促進となることを目指すべく,これまで一般には知られていなかったCMや番組の考査業務の社内組織フローを明らかにするとともに,業務遂行時の問題点や放送業界全体における考査の課題などについて検討する.CS局での実務経験における8年半,延べ6,200件以上にのぼるCMおよび番組審査データを詳細分析する.その上で,考査担当のバイブルとされる『民放連放送基準解説書』の条文別に過去の考査事例を検証しつつ,どのような内容のCMの審査傾向があるのかと,放送倫理の観点より問題となる部分が,どこに多く存在しているのかを探る.最終的に,これからの考査担当においては「習慣形成」並びに「社会的妥当性」の意識を持ちつつ,最新の情報収集と継続的な広告リテラシー向上が求められることを指摘する.