抄録
地上波デジタル放送SFN(単一周波数網)方式用中継局において, 送受信アンテナで同一周波数を用いることによる自局送信波の受信アンテナへの回り込みによる特性劣化が問題になっている。ここではその解決法として, まずアンテナ部分では受信アンテナをアレーアンテナ構成とし, 受信素子アンテナの励振分布を最適化することで受信アンテナパターンにヌル点を形成して回り込み波レベルを減少させ, さらにベースバンドにおいてキャンセラを用いて回り込み波成分を除去する方法について検討し, シミュレーションを行った.また, アンテナ部分においてはフィードバック回路を用いることでリアルタイムに環境変化に合わせた励振分布制御を行う方法を提案する。シミュレーションの結果, アンテナ, キャンセラともに有効に回り込み波を除去できることを確認した。