抄録
磁化の熱擾乱がグラニュラー系垂直磁気記録媒体(CoCrTa/Ti 垂直媒体)の磁気特性に与える影響について, パルス磁化率測定装置を用いて評価した.磁化の熱擾乱の影響を差し引いた残留保磁力H_0の値は, CoCrTa層の膜厚の低下にともない, 結晶粒の異方性磁界H_kの値へ徐々に近づくことが明らかとなった.膜厚20nm以下のH_0の値は, H_kの90%を超える値を示した.一方, 活性化体積の値は膜厚の低下にともない徐々に低下し, 膜厚30nm以下では結晶粒の平均的な体積と同程度となった.これは, 30nm以下の膜厚では結晶粒内部の磁化反転がコヒーレントであることを示している.