抄録
本稿では, フラクタル画像符号化における可変形状領域分割法の有効性を検討する.フラクタル符号化のブロック分割法として, 従来, 四分木分割法を用いていた.この手法は符号化後の誤差が大きなレンジブロックに対して, そのブロックをサブブロックに分割して画質の向上を図っている.しかしレンジブロックの個数が増大して符号量が増加するため, 必ずしもレート-歪み特性が向上するものではなかった.そこで先の論文では, レンジブロックを構成する画素の個数は概略一定のままで, ブロックの辺を局所的なエッジに沿うように適応的に制御する可変形状領域分割を新しくフラクタル符号化に導入し, 有効であることを実験的に示した.本稿では可変形状領域分割により, レート-歪み特性が改善した理由を調べるためにブロックの方向分布とレンジブロック数の関係を比較し, 可変形状領域分割の有効性を考察する.