抄録
近年のデジタル映像伝送の急速な普及に伴い, その運用監視を支援する技術の開発が強く求められている。特に, 画質監視に関しては, 運用者への負担が非常に大きく、これを自動化する技術の開発が求められている。そこで, 筆者らはリファレンス画像を用いない画質評価方式について提案する。提案方法は, スペクトル拡散によるデータハイディングを用い, 原画像に不可視マーカを埋め込む。この不可視マーカの特徴として, 画像の幅広い周波数帯に分布するという特性があるため, この劣化を受信側で検出することによりMPEG符号化による画質劣化を推定することが可能となる。また, 本方式は絵柄やビットレートを問わず, また, コーデック多段接続にも対応しているため, あらゆる形態の映像伝送に適応可能である。さらに, マーカ付加による画質劣化も極めて小さく視覚的に検知できないレベルに抑えられているため, 高品質の映像伝送にも適用できるという特徴を有する。