抄録
身体等に障害を持つ人達の日常生活における人とのコミュニケーションの機会は、特別に障害を持たない人達と比べると制約がある場合が多いようである.この現象は以前から多くの人達から指摘され、人的、あるいは技術的な支援による環境改善が行われている.しかし、一方ではデジタルデバイド(環境格差)と呼ぶ情報機器類の利用状況に因るコミュニケーション・情報環境の差が、必ずしも障害を持たない人達も含めた広い範囲で起きている.ここでは、障害を持つ人達のコミュニケーション環境がどのように構築されているかを、3つの事例に基づいて検討し、生活をしている地域における支援との関連について考える.すなわち、情報通信サービスを利用したメディアコミュニケーションが障害を持つ人達の地域での生活にどのような効果をもたらすか、さらにはメディアコミュニケーションによって形成されるコミュニティーからの支援と地域支援との好ましい連携について、事例を中心に検討する.