抄録
近年,システムの簡略化を目的とし,単眼カメラを利用した3次元形状,位置関係の把握が求められている.従来の3次元形状,位置関係の把握に関する研究は幾何学的な情報を基にしたものが多く,近距離にある物体の把握を目的としたものがほとんどである.本研究では,近距離にある物体だけでなく,遠方物体の位置関係を同定することを目的とし,色彩情報を基にした奥行き知覚方法の1つである大気遠近法に着目し,物体の位置把握方法について検討した.実験結果より,大気遠近法を用いた位置関係の把握は,気象条件にも影響されるが,数100[m]から数1000[m]の範囲に対して有効である可能性が示唆された.