抄録
近年,都市計画やビル建設の事前検証等を行うために,景観シミュレーションにおける,ガラス面への映り込み表現が重要視されている.平面ガラスへの映り込みは比較的容易に実現可能であるが,曲面ガラスへの映り込みは容易ではない.さらに,現実の映り込み現象では,1つの物体に対して複数の鏡像が存在する場合もある.そこで本稿では,映り込み物体を構成する各面の頂点と視点,さらにガラス面の半径から映り込み物体の頂点を曲面ガラスに対して鏡像反転する式を導出し,この式の複数解を基に,鏡像反転モデルを生成して映り込み映像を表現する手法を提案する.本手法を用いることにより,鏡像反転モデルが単数の場合だけではなく,複数の場合においても,現実と同等の映り込み映像を表現することができた.