映像情報メディア学会技術報告
Online ISSN : 2424-1970
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セッションID: HI2011-36/3DIT2011-2
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弁別閾下の運動情報が眼球運動および注意制御に及ぼす影響(視聴覚技術,ヒューマンインタフェース)
入江 久仁子小濱 剛
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抄録
近年,周辺視野に提示された弁別閾下の運動情報が,中心窩に連続して提示される文字の認識を阻害する現象が報告されており(Tsushima et al.2006),知覚できないボトムアップ情報処理が視知覚に及ぼす影響が論じられている.しかしながら,対象の認知に注意の集中を要するような,より強いトップダウン情報処理が課せられた場合にも,同様の影響が生じるかどうかについては確認されていない.本研究では,一定の割合でコヒーレント運動を行うダイナミックランダムドットを背景に,中心窩に提示された2重リングに施した切れ目を数え上げるRSVP課題を実施した.ターゲットリングと妨害リングとのコントラストを調整し,課題の難易度を変化させることで注意の集中度合いを統制し,このときのコヒーレントドットの割合と切れ目の正答率の関係を評価した.また,課題遂行中の固視微動を計測し,弁別閾下の運動情報が不随意性の眼球運動に及ぼす影響についても解析を行った.実験の結果,注意の集中度合いとは無関係に,弁別閾下の協調運動が,切れ目の判断と固視微動中のマイクロサッカードの発生頻度に影響を及ぼす可能性が示された.すなわち,トップダウン情報処理が十分に機能しうる状況下にあっても,ボトムアップの運動情報が,注意や眼球運動の制御に影響を及ぼすことを示唆しているものと思われる.
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© 2011 一般社団法人 映像情報メディア学会
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