抄録
一般的に,身体運動は距離知覚の手がかりとして機能すると考えられている.本研究では仮想空間において,仮想腕を用いて物体に触れたときの奥行距離推定について検討した.実験1では,仮想腕の大きさとリーチが同じように変化する場面について検討した.実験2では,仮想腕の大きさは不変であるが,リーチのみが変化する場面について検討をした.実験結果は,仮想腕のリーチが変化しても奥行推定距離に影響は生じないことを示した.仮想腕のリーチは変わらないが大きさのみが変化する場面についての実験は行っていないが,仮想腕の見え方は奥行距離の推定に影響を及ぼすと推定される.